遺言で全財産を譲ることは不可能?上手な相続テクニックは?

遺言の相談内容は様々ですが、「特定の個人に全財産を譲りたい」と願う方は少なくありません。

ところが、実際に特定個人に全財産を譲るとなると、法定相続人や遺留分の問題が生じてしまい、そう簡単に目論見通り行くものではありません。

今回は、そんな法定相続人や遺留分の問題をかわしつつ、上手に遺言相続を実現するためのアプローチ方法を紹介します。

遺留分を放棄してもらう

遺言で全財産を譲る場合に、「遺留分」の問題は最も大きなハードルです。

遺留分は兄弟姉妹以外の法定相続人に認められた強力な権利であり、遺言に優先して財産の割譲を求めることができます。

ただし、遺留分は相続権と異なり、事前に放棄することができます。

そのため、全財産を確実に譲り渡すには、

1、遺留分を持つすべての相続人に遺留分の放棄をしてもらう
2、遺言で意中の人物に全財産を相続するよう記載する

この2ステップを踏むことが大切です。

遺留分放棄には条件がある

遺留分の放棄は裁判所の許可が必要であり、そう簡単な話ではありません。

裁判所は具体的に以下の3要件を具備することを求めているので、確認しておきましょう。

遺留分放棄に必要な3要件
1、遺留分の放棄が本人の意思であること
2、放棄に合理的な理由があること
3、遺留分の放棄者にとって見返りがあること

強引に迫った契約が無効であるのと同様に、遺留分も本人の意思がなくては有効とは言えません。また、単なる親心や好悪感情など、合理的とは言えない理由も認められることはありません。

実際に利用する際は、これらの事情を顧みて、慎重な判断が求められます。

相続人から廃除する

特定の事情が認められる場合は、法定相続人から廃除することも可能です。

排除された相続人は、たとえ法定相続人であっても相続権が得られず、全財産を受け取ることができません。

ただし、遺留分の放棄と同様に、相続人の排除にも一定の条件が求められています。

相続人の廃除に必要な3要件
1、被相続人に対する虐待
2、被相続人に対する重大な侮辱
3、その他著しい非行

侮辱や虐待の程度が大切

虐待や侮辱は相続判断に影響する重大な要素ですが、主観的なもので認められることはありません。

例えば「カットされた餅が大きい気がする」や「どことなく白眼視されてる」程度のことでは、到底相続の廃除は不可能です。

その他著しい非行についても、「未成年時代に万引きをした」程度では難しく、「殺人事件を起こして報道された」程度の要件は必要と考えられています。

いずれにせよ、遺言で全財産を相続させるのは容易なことではありません。各家庭のバックグラウンドを総合的に判断し、適切な提案を行える専門家の判断が必要です。

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