生前贈与で相続税対策を行おう

相続が発生したときに、相続人の方の悩みのタネになるのが相続税です。

2015年の相続税法改正により、相続税の基礎控除が減額し、加えて税率が高くなったことで以前より相続税の負担が増え、相続税対策の必要性はますます増しています。
相続税納付のスケジュールや、どのような制度の中で対策が可能なのか、一般的な例をご紹介します。

目次
1. 相続税の納付締め切りはあっという間に訪れる!
2. 贈与で税負担を減らす方法
2-1贈与税基礎控除
2-2相続時精算課税制度
2-3夫婦間での居住用不動産の譲渡
3. まとめ

1. 相続税の納付締め切りはあっという間に訪れる!

相続税の負担もさることながら、相続税の納付スケジュールが非常に厳しいものであることも知っておくことも必要です。
相続税の申告書の提出期限は、亡くなった日の翌日から10ヵ月目の日で、現金で一括納付が原則です。相続したものが不動産の場合、納税資金を捻出するために、不動産をすぐに売却して現金化したり、買い手に良い条件で購入をしてもらったりするのはなかなか難しいでしょう。そのため、相続税が用意できないという不測の事態も考えられます。

2. 贈与で税負担を減らす方法

そこで、被相続人が存命のうちに、“贈与”で財産を相続人に移動させて相続税の負担を減らす“生前贈与”が、相続税への有効な対策として挙げられます。
国が次世代への資産の移動を行うために、贈与を推奨しているということもあり、贈与税が優遇されるさまざまな贈与制度が多々あります。その中でもいくつかご紹介します。

2-1贈与税基礎控除

将来相続対象になる財産を、非課税の範囲で少しずつ相続人に贈与して移動させる生前贈与は、よく見られるケースです。
贈与税の基礎控除は年間110万円ですので、110万円以内であれば課税対象とならずに贈与が可能です。ただ、贈与は3年経過してから効力が出てきます。そのため、亡くなった日から3年以内になされた贈与は相続対象として見なされてしまうため、注意が必要です。

2-2相続時精算課税制度

20歳以上の子が65歳以上の親から贈与を受ける場合、2500万円までの贈与には贈与税がかかりません。
2500万円を超えた贈与については、超えた財産につき20%の贈与税が課されます。
ただ、この贈与は相続が発生した場合に相続対象に含まれて計算され、課税対象となります。支払った贈与税は相続税に充てられ、還付を受けることが可能になります。

2-3夫婦間での居住用不動産の譲渡

婚姻期間が20年以上の夫婦では、居住用不動産又は居住用不動産を取得するために金銭の贈与が夫婦間で行われた場合、2000万円までは贈与税がかかりません。
つまり、夫が居住用の家の持ち主となっている場合は、2000万円以内であれば将来の相続人となる妻に非課税で贈与が可能になります。また、この贈与については被相続人の亡くなった日から遡って3年以内に行われたものであっても、相続税の対象と見なされないということも魅力です。

3. まとめ

生前贈与を行う際は、対象となる財産の把握、相続人の数や種類を把握しておく必要があります。
相続は、なかなか家族間でも話しがしにくいテーマですが、次の世代が負担にならずに財産を享受していけるよう、家族で話し合い整理をして、生前贈与をうまく活用し、相続対策を行っていきましょう。

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