兄弟姉妹は相続できるの?親や子との関係はどうなる?
最近、「兄弟相続」が増えています。婚姻率や出生率の低下により、配偶者や子を持つ被相続人が減少傾向にあるからです。
ところが、親や子と比べて「兄弟姉妹」はやや複雑。
〇 曾祖父や孫との関係は?
〇 トラブルになりやすいって本当?
〇 税金や確定申告への影響は?
などなど、多くの方が不安や心配を抱えています。そこで今回は、「兄弟相続」についてクローズアップ。その概要をお伝えしようと思います。
相続はわたしたちの生活を司る「民法」によって規定されている制度です。同法は配偶者や子・親などを「法定相続人」と定めており、財産分与の地位を保証しています。
もちろん、今回お話しする「兄弟姉妹」も法定相続人の1つです。
法定相続人の優先順位
民法では法定相続人に対して優先順位を設けています。配偶者は常に相続人となる他は、順位に従って相続人を定めます。
☆法定相続人の優先順位
第1順位 → 子
第2順位 → 直系尊属(親・祖父母)
第3順位 → 兄弟姉妹
兄弟姉妹の場合、相続の権利は一番下である「第3順位」です。基本的には子や尊属が財産相続を行いますが、何らかの要因により両者が存在しない場合、兄弟姉妹に順番がまわってきます。
兄弟姉妹は再代襲が認められない
通常、法定相続人には民法887条の規定により、「代襲相続」が認められています。つまり、相続発生時に、子が死亡していた場合は「孫」が相続し、兄弟姉妹が死亡していた場合は、「甥」が相続を行います 。
ところが民法は、甥や姪の子が更に相続人としての地位を承継する「再代襲」を認めていません。これは「ひ孫→玄孫→…」と地位が承継される「子」とは異なる扱いなので、注意が必要です。
兄弟姉妹と相続トラブル
複数の兄弟姉妹が相続する場合、最も懸念されるのが「相続ゲンカ」です。配偶者や子と異なり、兄弟姉妹は成人後は関係が遠くなります。
また、それぞれ経済的にも自立するため、お互いの経済状態に差が生じることもあるでしょう。こうした状況において、「相続」が発生すると大変です。
〇 「土地を売ったら分けるから…」と承認。そのまま持ち逃げされた!
〇 兄弟の1人が通帳や口座を隠匿。財産目録が把握できない。
〇 わたしが被相続人の面倒を見た!「寄与度」を訴える兄弟姉妹。
無論、こうしたトラブルは兄弟姉妹に限った話ではありません。ところが、関係性の薄さがたたってか、現実には兄弟姉妹にこうしたトラブルが多いのです。
所得税申告は原則不要
相続全般に言えることですが、被相続人から得た財産は「所得税の申告」が必要ありません。相続財産は相続税の課税対象であり、所得税の領域ではないからです。
ただし、被相続人が収益物件などを保有している場合は、収益に対して所得税の申告が求められます。被相続人が生前していた時の収益と、相続後の収益をきちんと分けて記録しておくことをオススメします。
相続税と2割加算
続いて、相続税について見て行きましょう。相続税については、法律で一定の金額を超えない限りは申告不要とされています。具体的な計算式は省きますが、現実には多額の財産を保有していた被相続人でない限り、申告を意識することはないでしょう。
ただし、相続税の課税対象となった場合、兄弟姉妹の相続には「2割加算」と呼ばれるルールが適用されます。これは文字通り、子や配偶者が支払う相続税よりも「2割増」で支払う規定です。