特別縁故者相続による財産分与時の譲渡所得の扱い
今回は特別縁故者が相続人となった場合に発生する、相続や財産分与時の譲渡所得資産について解説を進めようと思います。
特別縁故者の相続や財産分与の扱いはややこしく、税法上しばしば問題になります。通常の相続人が取得する場合とは扱いが異なりますので、相違点を確認しておきましょう。
特別縁故者も「遺贈」と見なす
相続税法は、特別縁故者が遺産を取得した場合、それを贈与や譲渡ではなく「遺贈」と見なす法律です。ただし、通常の相続人とはやや取扱いが異なり、
通常の相続人が申告納税を行う場合、
〇 相続人が被相続人の取得の時期及び取得費を引き継ぐと見なす
と規定されているのに対して、特別縁故者の場合は、
〇 裁判所から分与の告知を受けた日の価額で取得したもの
と扱います。
つまり、通常は被相続人が3000万円の土地の遺贈を受けた場合、相続人もこの3000万円という価格を引き継ぎますが、特別縁故者の場合は、分与時の評価額で取得したものとして、遺贈資産に対する相続税の申告納付を行うワケです。
特別縁故者の控除や期限の注意点
特別縁故者の場合も、、「相続があったことを知った日」の翌日から10カ月以内に申告を行います。
ただし、特別縁故者の場合は
〇 相続人がいない事を確定するために相当な期間が必要
〇 一親等血族に該当しないため、いわゆる「2割加算」の適用を受ける
〇 基礎控除以外の大半の税額控除が受けられない
などの注意点も存在します。
譲渡所得税の扱いは?
少しややこしいのですが、「相続による取得」と「財産分与による譲渡所得」では税法上の扱いが異なります。
前項に手触れた通り相続税では、特別縁故者による取得資産を「遺贈」と見なすと規定しているのに対して、
国税庁は「所得税法上、相続財産の分与として取得した財産は、遺贈により取得したものとみなす規定がない」との立場を取っており、
「分与を受けた時にその価格で取得したものとみなす」と説明しています。
つまり、財産分与を受けた不動産の譲渡が発生した場合、譲渡を受けた時の価額で譲渡所得税の計算を行います。
また、分与時から売却時までの果実(家賃等)も、不動産取得税として計上すると定められています。
専門家への相談は必須
相続や財産分与に特別縁故者が絡む場合、通常の相続と比べてかなり扱いが複雑化します。素人が完璧に取り扱うのは非常に難しく、専門家への相談などが不可欠な事案です。
大切な資産を滞りなく分割するためにも、一度検討してみては如何でしょうか。