相続による財産分与で不動産取得税は課税される?
相続は原則として、不動産取得税が課税されません。
相続は売買や交換と違い、相続人の意思とは関係なく発生するもの。これに対して「不動産を取得しただろ!」と取得税を課税するのは、不条理と解釈されているからです。
考えてみれば、当たり前の話ですよね。
生前の財産分与は要注意!
ところが、これが生前の財産分与となると、まるで話が違ってきます。
不動産の所有者が生きているうちに第三者に対して不動産を財産を分与することを「生前贈与」と言いますが、この場合は原則として不動産取得税の課税対象です。
なお、生前贈与による不動産取得税には一定の条件のもとに「軽減措置」が導入されています。
軽減措置の内容についてここで触れることは避けますが、譲渡不動産の性質によっては大きな節税効果を生み出すので、そちらを合わせて検討すると良いでしょう。
「特定遺贈」で不動産取得税を回避!
不動産取得税の課税を回避するためには、「特定遺贈」を行う手もあります。
法的な有効性が認められた遺言書に「長女である〇〇に、××にある宅地を遺贈する」と記載しておけば、「特定遺贈」の形が成立。
対象不動産は「相続資産」として扱われ、不動産取得税の課税を回避することが可能です。
また、特定遺贈の場合はマイナス資産を回避し、対象不動産のみを遺すことができる点もメリットだと言えるでしょう。
特定遺贈のデメリット
便利な「特定遺贈」ですが…残念ながらデメリットも存在します。
なかでも最も大きなデメリットは、法定相続人にしか適用できないこと。つまり、自身の配偶者や子など、血縁関係のある人物にしか適用することができません。
お世話になった知人や友人などを指名した場合、それは相続と解釈されず、不動産取得税の課税対象となってしまいます。
不動産取得税の軽減措置
ところで、平成30年3月31日までを対象として、不動産取得税の軽減措置制度が導入されています。
通常不動産取得税は、
〇 土地・建物の税額 = 固定資産税評価額 × 4%
で計算されますが、平成30年3月31日までを限度として、
〇 土地及び建物の評価額 × 3% (住宅以外の家屋は4%です)
で計算すると定められています。
また、「新築住宅及び中古住宅の軽減措置」として
〇 新築住宅 →建物1200万円の控除 + 土地の固定資産税評価額が1/2
〇 中古住宅 →建物100万円~1200万円の控除 + 土地の固定資産税評価額が1/2
上記特別控除も時限措置として適用。居住用住宅にまつわる多方面の減税策を講じている状況です。