その遺言チョット待った!遺留分減殺請求とはどんな制度?
遺留分減殺請求とは、遺言や遺産分割が法定相続人の権利を著しく害された際に、法定相続人が「その遺産分割に異議アリ!」と請求を行う制度です。
今回は、この遺留分減殺請求がどのようなものか? そしてどうしてこのような制度が存在するのか? を解説しようと思います。
日本の相続制度は「遺言>法律」
日本の法律は、妻や子、兄弟姉妹などを「法定相続人」と定義して、予め本人が亡くなった際に財産を引き継ぐ人を予定しています。よく「妻は1/2、残りの半分を兄弟で分ける」などと言いますが、これは法律で定められた相続分に基づいての話です。
ところが、被相続人の財産は言うまでもなく本人のもの。そのため、自身が亡くなった際に「誰に財産を遺したいか」を遺言で定めることができます。
そして、日本の法律は「遺言>法律」と定義しており、原則としては遺言の内容によっては法定相続人の取り分が減少することを認めています。
遺言が全てでは困ったことに
ですが、何事もやりすぎはいけません。遺言についても同様で、例え本人の財産であっても「誰にあげるか全て自由」としてしまった場合、著しい支障が生じます。
例えば、働き盛りの夫が「愛人〇〇に全ての財産を譲ります」と書いてしまった場合、遺された妻や子はどのようにして生活すれば良いのでしょう。
「本人の財産だからどうしようが勝手だろう」と切り捨ててしまうには、あまりにも酷な話です。
遺留分減殺請求とは?
遺留分減殺請求は、こうした「法定相続人の生活」を守るために作られた制度です。妻や子に一定の相続資産を「遺留分」として確保することで、遺言の絶対性を薄める役割を果たしています。
つまり、遺留分減殺請求とは、「いくら本人の遺言であっても、法定相続人として最低限受け取るべき取り分はあるのではないか?」と裁判所に求める請求権。
法定相続人の生活を守るために欠かせない、大切な制度です。
意外と知らない人が多い
さて…ここまで解説した通り、「遺留分減殺請求」は非常に重要な制度です。
ところがこの制度。遺言と比べてあまりにも知名度が低く、多くの人がその存在を知りません。
そのため、「遺言に書いてあるからしょうがないか…」と諦めてしまい、あえなく時効を迎えてしまうケースも。身近に法律に詳しい方や専門職の方がいなければ、大きな損をしてしまいます。
このように、遺留分減殺請求はやや複雑な側面を抱えた制度です。ご自身の本来の取り分である「遺留分」を守るためにも、一度専門機関などに相談してみては如何でしょうか。
(具体的にどれくらいの「遺留分」が存在するかなどは別項に譲ります)