自分でできる?相続財産の分与時に支払う税金の計算方法
相続に限った話ではありませんが、税金の計算は難しく、つい専門家に投げてしまいがちな案件です。
「財産の分与や親族との協議もあるし、のんびり計算なんてやってられない!」
と言う方もいるでしょう。
ですが、相談前におよその税金を知っておくのは、悪い話ではありません。専門家から話を聞くにせよ、基礎知識があれば理解度が歴然と違ってきます。
今回はそのような観点に立ち、誰でもできる「税金の計算方法」をご紹介しようと思います。
ステップ1:課税価額の合計額を計算する
何はともあれ、どれほどの財産があるのか知らなくてはなりません。およその税金を導くためにも、まずは遺産総額を計算しましょう。
ここで注意すべきポイントは、「負債を差し引くこと」です。分与する財産は+になるとは限りませんから、持っているお金と借りているお金を差し引きます。
例:亡くなった夫の財産を計算(妻+子2人が相続)
プラスの財産
〇 現金・預貯金 → 11,000万円
〇 生命保険 → 2000万円
マイナスの財産
〇 銀行からの借入金 → 300万円
合計額 12,700万円
ステップ2:非課税枠や控除を適用して課税遺産額を算出
マイナス財産を差し引き損益財産を算出したら、次は「基礎控除」や「非課税枠」を適用します。
〇 基礎控除 3000万円 + 600万円 × 法定相続人
〇 生命保険非課税枠 500万円 × 法定相続人
平成30年3月時点では、上記の基準で控除などを適用し、「課税遺産額」を算定します。
先ほどの例で説明しますと、法定相続人は「合計3人」なので、それぞれ「3,600万円」及び「1,500万円」の控除を受けることが可能です。
例:
〇 現金・預貯金 → 10,700円 - 4,800万円 = 5,900万円
〇 生命保険 → 2,000万円 - 1.500万円 = 500万円
合計課税遺産額 6,400万円
ステップ3:財産分与を行い相続税を割り当てる
最後は、課税遺産額を相続分において分与。各人が受け取る財産に課税される税金を算出します。(税率は別コラムを参照)
例:
〇 妻(1/2) → 3,200万円 × 15% - 控除50万円 = 430万円
〇 子A(1/4) → 1,600万円 × 10% = 160万円
〇 子B(1/4) → 1,600万円 × 10% = 160万円
ただし、妻の場合は「配偶者軽減税率」が適用されるため、
〇 法定相続分もしくは1億6000万円分
の税額が控除されます。したがって、今回の場合は最終的に配偶者の税金はゼロに。財産分与を受けた子A及び子Bに対してのみ、税金が課税されます。
相続税の計算は意外に簡単
如何でしょうか。相続税の計算方法は、制度を把握していれば意外なほどに簡単です。
もちろん、相続財産が大きくなれば相続対策や節税が必要となり、専門家への相談も必要となるでしょう。
当コラムは相続対策を検討中の皆様のお役に立てるよう、できるだけわかりやすく「相続」をお伝えしていきます。