相続トラブル!建物だけの不動産鑑定はどうしたらいいの!?
今回は、不動産相続の中でも最も難しい「建物だけ」の鑑定について解説しようと思います。
ただでさえ難しい不動産鑑定なのに…「建物だけの鑑定」となると非常に困難。円満相続のためにも、専門家に頼りたいところですよね。
ところが実は、多くの不動産鑑定士も「建物だけ」の評価は苦手としています。
土地と建物は別である
普段あまり意識しない方が多いのですが、不動産登記簿では通常、「土地と建物がそれぞれ別の存在」として扱われます。
つまり、土地と建物はセットではなく、「土地は〇〇のもので、建物は××のもの」というケースも少なくありません。
土地を借りて商業施設を建設する人もいれば、アパートを建てて収益を図る人もいますよね。このように考えると、土地と建物を分けて扱うのは当然と言えるでしょう。
建物の鑑定方法は?
さて、話題を建物の鑑定方法に移しましょう。
建物の評価は主に
1、固定資産税評価額
2、簿価
3、鑑定額
で評価します。
ところが、今回問題となっている「鑑定」は、3つの中でも非常に厄介です。
実は建物のみを鑑定することは専門家でも難しく、建物竣工図や不動産登記事項証明書から、
〇 築年数や耐震性、構造などから推測
〇 設計や設備等の機能性
など選抜し、総合的に評価を下します。
ところが、これらの数値に対する基準データなどはほとんど存在しないと言ってよく、鑑定した人によって金額差が大きくなってしまいます。
つまり、結局のところ、建物のみを鑑定するケースでは、評価額が「鑑定した人の腕次第」になってしまうのが実情です。
これでは相続時に「誰もが納得する鑑定価格」を導き出すのは難しく、分割協議は紛糾を避けることができません。
建築士と連携した事務所を選択
不動産の評価と言うと「不動産鑑定士」をイメージするかと思いますが、実は建物に関しては建築士が頼りになる存在です。
そのため、「建物だけを鑑定したい!」と考える場合は、「建築士との協力関係を築いた不動産鑑定士もしくは鑑定士事務所」が最も理想的な選択です。
こうした事務所は不動産の建物評価に関して、建築士と協力した上で査定価格を導き出すため、より専門的で納得のいく評価額が期待できます。
分割協議前に決めてしまうのも手
建物の相続は非常に難しく、長引きがちな案件の1つです。
そのため、遺産分割協議前にある程度相続の方向性を決めておき、いざ相続になった際にモメないように配慮する方も少なくありません。
遺産分割は親族間の軋轢を招きかねない大事。「ウチに限って…」と安易に考えず、もしもの時に備えることも大切です。