平等な相続を実現!特別受益制度ってどんなもの?
特別受益制度は、相続に関する文章でしばしば目にするキーワードですが…「何のことかわからない」と感じる方の方が多いかと思います。
特別受益制度は、相続が起きる前に発生した財産の移動を考慮して、より平等な相続を実現するための制度です。
少し詳しく解説しなければわかりにくいので、今回はこの「特別受益制度」についてご説明しようと思います。
特別受益制度とは?
特別受益制度とは、「被相続人の生前に、財産から遺贈や援助を受けた人の相続分を相殺する」制度です。
例えば、被相続人Aに長男Bと次男Cが居たとして、生前BがAから贈与を受けていた場合を想像してみて下さい。
そのままAが死亡した場合、当然BとCは等分で財産を分割します。ですが、BとCの相続額が同じでは、生前の贈与分だけCが不利な扱いを受けたことになりますよね。
この時に、「Bは生前Aから財産をもらったから、その分だけCに多めに配分しよう」と修正を加える規定こそ「特別受益制度」の正体です。
どんな契約が特別受益?
日本では特に以下の3種類が特別受益に該当する財産と認識しています。
特別受益の該当資産
1、遺贈
2、婚姻や養子縁組のための贈与
3、住宅資金や学習資金など
ただし、実際に特別受益と認められるためには、より詳しい要件を満たすことが必要になる場合も。
例えば、学習資金の場合は一般的な大学を出ただけでは認められず、私立医学部等の高額な学費であることが求められています。
この辺りの個別的な是非の判断は、専門家等にオススメすると良いですよ。
特別受益の計算方法
特別受益を計算するときは、以下の計算手順で求めることが可能です。
1、特別受益分も合算した、みなし相続財産を制作
2、みなし相続財産を相続人間で等分に分割
3、特別受益者の相続分から受益分を差し引く
少しわかりにくいと思うので、モデルケースを利用して、実際に相続分計算してみましょう。
モデルケース:5000万円の財産を持つ被相続人Aが死亡した。Aには子Bと子Cがいるが、Bは既に事業資金として1000万円を受け取っている。
1、特別受益分も合算した、みなし相続財産を制作
例:5000万円(相続財産)+1000万円(Bの事業資金)=6000万円
2、みなし相続財産を相続人間で等分に分割
例:6000万円 ÷ 2(BおよびC) = 3000万円
3、特別受益者の相続分から受益分を差し引く
例:子B 3000万円 - 1000万円 = 2000万円
子C 3000万円 - 0万円 = 3000万円
特別受益制度はこのように、より平等な相続を生み出すためのとして知られています。