遺言で他人に相続させることは可能?全額は難しい?
遺言は自身の財産の行く末を決める、とても大切なメッセージです。
一般的には妻や子に遺すものですが、「他人であっても、気持ちが繋がっていた人に遺したい」とお考えになるケースもあるでしょう。
今回は、遺言で他人に財産を遺すことや、相続における決まりごとを解説しようと思います。
遺言で他人への遺贈ができる
他人へ財産を遺すには「遺言」を書くことで条件です。
遺言は基本的に自由に書くことができるため、下記のように遺贈する人物の指定や組み合わせ、譲り渡す財産などを意のままに記載できます。
〇 妻や子だけでなく他人を指定できる(例:愛人に残す)
〇 法定相続人と織り交ぜて書くこともできる(例:長男+第三者)
〇 特定の財産を指定することもできる(例:自宅はNPO法人に残す)
日本の法律は、妻や子などを法定相続人として保護しています。しかし、原則的に遺言は法定相続人に優先して執行されるので、遺言で第三者を指定しても問題ありません。
(なお、第三者への財産譲渡は、相続と呼ばず「遺贈」と言います)
遺留分を侵害はできない
これまで説明してきた通り、遺言であっても遺留分を侵害することはできません。
そのため、遺言で他人に遺贈する旨記載しても、それが遺留分を侵害するほど過大なものである場合、やはり争いになると法定相続人に取り戻されてしまいます。
結論として、他人への遺贈を行う場合は「遺留分を侵害しない程度」に留めることをオススメします。(相続人の同意が得られている場合は別です)
相続と遺贈ではどう違う?
相続と遺贈は似ているようで違う制度です。
相続と遺贈は「自身の財産を誰かに残す」という点では共通するものの、法律上の扱いは随分と異なります。
全て列挙することは難しいので、一部だけを記載すると…
〇 不動産の登記手続き → 相続では相続人が単独で申請できるが、遺贈の場合は他の相続人と共同で申請しなければなりません。
〇 相続税の2割加算が適用される → 通常の相続と比べて2割加算が適用されるため、支払わなければならない税金が大きくなります。
〇 借地・借家権におけるオーナーの同意 → 相続の場合は同意が必要ありませんが、遺贈の場合はオーナーの同意が求められます。
〇 農地の許可 → 農地は農地法により特殊な扱いが定められている土地です。相続の場合は農業委員会等 の許可は必要ありませんが、遺贈の場合は「包括遺贈」を除き許可を得なければいけません。