成年後見人はトラブルだらけ?悪徳弁護士の横領事件も
成年後見制度は、意思能力が低下した人の財産を守るための大切な制度です。
ところが、2000年4月1日よりスタートした同制度も15年が経過する現在、多くのトラブル事例を抱えています。
家族や親族間のトラブルはもちろんですが…あろうことか、専門家である弁護士による横領事件まで発生。同制度に対する信頼性が損なわれようとしています。
そこで今回は、成年後見制度のトラブル事例をご紹介。同制度のリスクをお伝えしようと思います。
弁護士逮捕!高齢女性3名から約1億1200万円を横領
成年後見制度を悪用した典型的事件です。
成年後見制度等を利用して財産管理を任された元弁護士「渡部直樹」は、認知症などを患っていた80~90代の女性ら3名らの預金口座から、合計約1億1200万円を着服。入手したお金はキャバクラなどの遊興費に使ったものと見られています。
業務上横領罪に問われた元弁護士「渡部直樹」は、東京地裁により懲役6年の実刑判決が言い渡されました。
裁判官は「被後見人らの信頼を裏切る背信的な犯行で、成年後見制度に対する社会の信頼を揺るがしかねない」と被告の行いを批判しています。
引用:毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20161007/k00/00e/040/212000c
上記事件は専門家である弁護士の立場を悪用した、非常に卑劣かつ悪質な行為です。
弁護士としての名を信頼して任せてた女性らの信頼を裏切るばかりか、裁判官の指摘通り成年後見人の信頼性そのものを揺るがす行為と言えるでしょう。
どうしてこのようなトラブルが起きるのか?
ではどうして成年後見制度で、このようなトラブルが起きるのか? これは成年後見制度のトラブルを知る上で、必ず感じる疑問です。
成年後見制度により指定された「後見人」は、非常に強力な権限を有しています。
家族や親族による勝手な資産運用を防ぐだけでなく、意思能力の低下した被後見人に対しても「日常的な取引」以外の法律行為を取り消すことができるため、
〇 家族や親族が財産の管理に対して干渉できない
〇 財産の適正管理は事実上、後見人に委ねられる
〇 被後見人自身すら、自分の財産を自由に管理できない
上記のような「後見人一強」の状態になるからです。
信頼できる専門機関を利用する
成年後見制度は、使い方を誤ると大変な事態を招きかねない制度です。
正しく利用するためには制度の性質を知ることはもちろん、「後見人の人格や誠実さ」も求められると言えるでしょう。
強力な制度が故に判断は慎重を期すべきです。軽々に決めることなく、必要に応じて「専門機関への相談」を行い、助言やアドバイスを受けることをオススメします。