成年後見人の申立ての流れは?必要書類はどんなもの?
成年後見人制度の利用を検討する際に、多くの方が「手続き面での流れ」に戸惑いを覚えます。
(法定)成年後見制度は、本人同士の契約により認められるという単純なものではなく、裁判所に申立てを行わなければなりません。
これまで裁判所と関わったことがない方にとって、これは大きなハードルです。
今回はそんな成年後見人制度の申立て手続きの内容や、その流れを解説しようと思います。
ステップ1:申立ての準備を行う
成年後見人を検討しなければならない状況に瀕した時は、まず本人の住居を管轄する家庭裁判所に申立てを行います。
ただし、申立てを行える人は制度上、「本人及び配偶者、4親等以内の親族」に限定されています。(例:両親、祖父母、子、孫、兄弟姉妹等)
ステップ2:申立てに必要な書類を準備する
成年後見人になるためには、必要な書類を用意しなければなりません。また、場合によっては鑑定が必要になることもあるため、鑑定を行うに必要な現金も準備します。
必要書類は下記の通り。未経験の方が記載すると不備が生じやすいので、期間に余裕をもって申立てを行います。
成年後見人に求められる必要書類
〇 申立書 → 家庭裁判所で入手できます
〇 診断書 → 同上
〇 本人の戸籍謄本・附表 → 被後見人となる人の本籍地の所轄市町村区で取得
〇 本人の診断書 → 医師に請求して取得
〇 申立て人の戸籍謄本 → 本人以外が申立てる場合
〇 後見人候補者の戸籍謄本の写し → 各人の本籍地で取得
〇 後見人候補者の住民票の写し → 各人の登録住所地で取得
〇 後見人候補者の身分証明書 → 各人が取得
〇 成年後見等の登記が既にされていないことの証明書1通 → 法務局で取得
成年後見人に求められる費用
〇 収入印紙 800円 → 後見開始の申立てに必要な印紙代
〇 登記手数料2,600円 → 成年後見人制度の登記に必要な手数料
〇 鑑定費用 5万円~10万円 → 必要な場合のみ
ステップ3:事実調査
必要書類が揃ったら、家庭裁判所が本人、申立人、候補者にそれぞれの事情を尋ねます。
また、申立て後に裁判所の職員が本人やその親族に、「候補者に対する意見」を伺う場合もあります。
更に、場合によっては家事審判官の審問が行われる場合も。ただし、本人の判断能力に対する鑑定はほとんど行われた事例がありません。
ステップ4:審判
原則として、申立書に記載された成年後見人候補者が選任されます。
ただし、背景事情などを考慮して家庭裁判所が、弁護士や司法書士等を選任するケースも珍しいことではありません。
なお、審判に不服ある場合は、審判所の受領より2週間以内に限り、不服申立てを行うことも可能です。
ステップ5:通知
裁判所から審判所謄本を受領し、法務局へ登記を行います。
なお、後見人等(補佐・補助)は、必要に応じて報酬を求めることが可能です。認められれば、裁判所が報酬付与を下します。