家族信託の受託者とは?専門家や会社がなることはできる?
家族信託には「委託者、受託者、受益者」の3者が登場しますが、このうち選定が最も大変なのは財産管理を扱う「受託者」です。
委託者の財産を管理する責務は非常に重く、家族以外の人物を受託者としたいと考える方もいらっしゃいますが…そもそも受託者は「どんな人が就任できるのか?」を理解しなくてははじまりません。
そこで今回は、家族信託における受託者の概要を解説し、受託者に就任できる人や出来ない人を整理・明らかにしようと思います。
家族信託の受託者とは?
冒頭にて触れた通り、家族信託制度には「委託者、受託者、受益者」の3者が登場します。
それぞれの役割は下記の通りですが、受託者とは「委託者の財産を預かり、受益者のために財産を管理する」となります。
家族信託の登場人物の役割
〇 委託者 … 自己が所有する財産を受託者に預けて、運用等を任せる人
〇 受託者 … 委託者から預かった財産を運用管理する人
〇 受益者 … 受託者が運用した財産から生じた利益を受ける人
受託者になるための要件とは?
家族信託の受託者は、どんな人でも就任できるワケではありません。信託行為は法律上、受託者に重たい義務が課されるため、受託者は下記の属性に該当しないことが定められています。
受託者になるための要件
1、未成年者ではないこと … 未成年者は判断能力が完成されておらず、受託者としての責務を全うすることができないものと考えらえています。
2、成年被後見人でないこと … 成年被後見人は判断能力が欠けており、裁判所から特別な保護を要すると考えられている方です。
3、成年被保佐人でないこと … 被保佐人は判断能力が著しく不十分なため、被後見人と同様に受託者となることができません。
会社や専門家は受託者になれる?
家族信託の特徴的な点は、「営利を目的としないこと」です。
過去にも触れた部分ですが、信託業法の規制対象外である家族信託は、
1、営利を目的として行ったものでないこと
2、反復継続的なものでなく、1回限りの行為
でなくてはなりません。
信託行為を業として利用する場合は、「信託業法」の求める要件を満たす金融機関や信託会社となる必要があります。
そのため、弁護士や司法書士等が「業として」家族信託制度を利用することはできないものと考えられています。(成年後見制度とは大きく異なる)
また、会社の場合も同様に「業として」就任する場合、法律の求める要件を満たす必要があります。