生命保険の名義変更を行うと税金が課税されるのか?
生命保険は非常に加入期間が長く、長期的な契約です。
中には子供のころに親の費用負担で加入して、成人すると親から受け取り、更に老後にわが子に譲り渡してしまうケースも。
このような生命保険に対して、税金はどのような扱いをしているのか。今回はそのあたりに関してクローズアップして行こうと思います。
生命保険にかかる税金は3種類
生命保険は保険金を負担した人と、受け取り人になった人により、課税される税金の種類が異なります。
この辺りは既に過去のコラムで触れた部分ですが、ここでも前提知識として理解しなくてはなりません。まずは、保険の課税ルールを改めて確認してみましょう。
〇 契約者…本人 被保険者…夫 受取人…本人 → 所得税
〇 契約者…本人 被保険者…夫 受取人…子 → 贈与税
〇 契約者…本人 被保険者…本人 受取人…妻 → 相続税
名義変更を行うとどうなる?
生命保険の名義変更を行うと、契約者が変わります。
(被保険者を変えることはできません)
そのため、先ほどご紹介したルールに従えば、本人の立場が入れ替わり、相対的に受取人の属性も変わってしまいます。
このあたりは少しややこしいでしょうか。「養老保険に20年加入した事例」をモデルケースとして、具体例で確認してみましょう。
☆本人名義で契約した養老保険
保険金:6000万円
保険料:300万円/年
契約者:5年目までは本人が負担。6年目から妻が負担。
被保険者:本人
受取人:5年目までは本人。6年目以降は妻が受取人。
上記のケースでは、支払い要件を満たした場合に妻が6000万円受け取ります。
ところが、保険料の負担面で考慮すると、その過程において本人が1500万円支払い、妻は残りの4500万円分の負担です。
つまり、妻の視点では夫に1500万円分の保険金を支払ってもらったことになり、この部分には贈与税が課税されます。
しかし、残りの4500万円は被保険者が夫なだけで、保険料そのものは自身で負担しているため、所得税が課税されることになります。
保険料は支払い要件を満たしてはじめて課税される
今回ご紹介した生命保険の名義変更に係る税金は、支払い要件を満たして初めて適用されるルールです。
つまり、名義変更を行った時点で支払いを行う必要はありませんが、支払い要件を満たした際に、遡って課税される形になります。
税金はどれも同じように見えて、対象税制により支払金額が大きく異なってくるところが特徴です。相続対策において、非常に大切な部分となるでしょう。