家族信託の問題点とは?代表的な4つの要素を解説!
家族信託は認知症に対する不安を抱えるご家族にとって、最適解となりうる対策です。
成年後見や遺言と類似した機能も兼ね備えているため、デメリットの無い制度とする主張も見られます。
ところが、制度導入から落ち着きを見せてきた昨今、家族信託にも段々とデメリットや問題点が浮かび上がってきました。
そこで今回は、家族信託のデメリットの代表例を解説しようと思います。
デメリット1:損益通算ができなくなる
家族信託に収益物権が含まれる場合、対象物件は租税特別措置法により損益通算が行えず、赤字は無かったものと見なされます。
つまり、該当物件が赤字の場合でも、他の所得の収益に組み入れることができず、翌年への繰り越しも行えません。複数の収益物権をお持ちの方は、特に注意が必要です。
金銭的な意味でのメリットと問題点のバランスは、資産の状況や運用状態により異なります。相応の知見を持つ税理士への相談が必要でしょう。
デメリット2:身上監護が行えない
家族信託はあくまで財産の管理に過ぎず、身上監護を行うことができません。
家族信託はその性質上、しばしば成年後見人の代わりとして扱われるのが実情です。ところが、家族信託には身上監護に対する決定権が付与されていないため、高齢者施設への入所手続き等を行うことができません。
身上監護を伴う強力な支援を必要とする場合、成年後見制度の利用が望まれます。
デメリット3:遺言でなければできないことも
家族信託は遺言ではありませんが、遺言と同様に遺産の円満な承継を目的とした制度です。
また、遺言が一般法である民法規定であるのに対して、家族信託は特別法である信託法による規定。つまり、家族信託の方が優先して扱われるのが常です。
ただし、遺言でなければ行うことができない問題点も存在します。(遺留分の現在対象財産の順序指定など)
信託財産ではない遺産については、信託契約とは別の遺言が求められます。
デメリット4:専門家が少ない
家族信託の専門家は非常に少数です。
弁護士や司法書士などの有資格者でも、家族信託に対する知識が十分でないケースはいくらでも存在します。
そのため、家族信託に詳しくない専門家に依頼すると、思わぬトラブルや失策となりかねません。
闇雲に依頼を行うのではなく、ウェブサイトなでしっかりと調査を進め、「家族信託に詳しい専門家や専門機関」の選定が望まれます。