後見支援信託制度とは?成年後見人は拒否できるの?
成年後見人制度が導入された当初は、多くの方は親族が後見人となり、財産の運用を行ってきました。
ところが、実際に運用がスタートして以来、顕著になってきたのが「財産の使い込み」です。そう、親族の中には財産を本人のためにではなく、専ら自己のために使ってしまう方が存在します。
そこで裁判所が導入を決めたのが、今回ご紹介する「成年後見支援信託制度」です。
後見支援信託制度とは?
後見支援信託制度とは、被後見人が保有する財産の管理をサポートする制度です。
具体的には信託銀行等が財産を預かる形を取り、後見人による使い込みや横領を防ぐ役割を果たします。
後見人が財産の払出や信託契約を解約を行う場合も、家庭裁判所の指示書が必要になるため、不正な出金を抑制する効果が期待できます。
メリットやデメリットは?
この制度の良いところは、預けた財産が「預金保護制度」の対象となるところ。
つまり、信託財産は後見人による不正出金等被害から守られるだけでなく、元本が保証されるためとても高い安定性を持ち得ます。
ただし、信託銀行は金銭以外の財産を対象としておらず、不動産などを信託財産として預けることはできません。
また、信託銀行や個別契約によっては費用が発生することもあるため、コストがかかる可能性にも留意しておきましょう。
事実上拒否は難しい
後見支援信託制度は、裁判所が必要と判断した時に導入が検討される制度です。
通常は専門職後見人もしくは、専門職後見人と親族後見人を合わせて選任しますが、この時専門職後見人が「必要ない」と判断した場合は拒否できます。
もっとも、現に後見制度を運用しているにも関わらず、裁判所が後見人貢献支援制度の導入を検討した場合、現実的に拒否するのは難しいでしょう。
費用が発生するので要注意
専門職後見人を選任する場合、当然費用が発生します。
報酬の相場は10万円~20万円程度と、決して安いものではありません。勝手に選任して勝手に払えとは何事かと怒りを覚える後見人の方も少なからず存在します。
いずれに制度のお、成年後見人制度の導入を検討されている方は、この制度の存在も把握しておくことをオススメします。
家族信託という手も
家族信託は、成年後見人制度とは別の形で財産の保全を目指せる制度です。
制度の目的そのものが違うため、成年後見制度と比べて様々な点が異なりますが、結果的にこちらの方が合っていたと感じている方も少なくありません。
相続や財産の管理にお悩みの方は、どの制度を利用すべきか、専門機関に相談してみることをオススメします。