相続財産の譲渡所得税って?3年以内だと特例アリ?
相続で受け取った不動産を相続税申告期限から3年以内に売却譲渡した場合、特例適用により課税譲渡所得金額が減額して譲渡所得税額が軽減されることがあります。
課税所得金額が増すと税負担は大きくなるので、これは非常に嬉しい制度です。
ただし、遺産相続直後の慌ただしい時期にとって、「3年以内」は意外に短いもの。落ち着いたころには既に適用対象外になっていることも少なくありません。
今回は、そんな相続不動産売却時の特例制度について解説を進めようと思います。
1、課税譲渡所得金額を計算する
相続した不動産を売却した時も、通常は所得税や住民税を支払わなくてはなりません。
ただし、その課税額は課税譲渡所得金額により算出されるため、まず課税譲渡所得金額を求める必要が出てきます。
課税譲渡所得金額は、売却代金と固定資産税などの清算金を合算したものから、不動産会社への手数料などの譲渡費用や、リフォーム代などの取得費を引いたものです。
課税譲渡所得金額 = 売却代金+固定資産税等の清算金 - 譲渡費用 - 取得費
2、譲渡所得税額を算出する
その後、課税所得金額に譲渡所得税率をかけると、最終的に支払うことになる譲渡所得税額が算出できます。
譲渡所得税率 = 所得税 + 住民税 + 復興特別所得税
※平成49年までは復興税が加算されます
譲渡所得税率は不動産の所有期間により「短期譲渡所得」もしくは「長期譲渡所得」に分類されます。通常は下記の通りです。
1、売却した年の1月1日時点から見て5年以内 … 39.63パーセント
2、売却した年の1月1日時点から見て5年を超える … 20.315パーセント
3、特例を適用する
相続税は相続を知った日の翌日から起算して10カ月以内に行います。
ただし、申告期限から3年以内に財産を売却した場合、なんと相続税の一部を取得費に組み入れることができるのです。
ただし、この制度を適用するためには、期限以外にもいくつかのルールが存在します。
・相続または遺贈による財産取得であること
・財産を取得した人に相続税が課税されていること など
また、申請の際には相続税や相続財産に関する様々な書類が求められるため、確定申告を行わなければなりません。
個人で行うこともできますが、かなり専門的な内容です。
この相続財産を譲渡した場合の取得費の特例で受けられる節税効果は、無視できないほど大きなもの。譲渡所得税に関する特例確実な節税効果を得るためにも、可能な限り専門機関や専門家へのご相談をオススメします。
参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm