相続トラブルを事例別に分析!争いになる3つの原因
相続トラブルを分析すると、実に様々な原因が浮かびます。
多くの場合は不動産評価や分割方法によるものですが、中には離婚や再婚に依るものも。今回は、実際に起きた相続トラブルをタイプ別に分析・解説しようと思います。
大きく分けて3タイプ!
実際に発生する相続トラブルはまさに十人十色といった様相ですが、大きく分析すると下記の3タイプに分類できます。
1、不動産関係
2、両親の後見関係
3、婚姻関係
それでは、順番に見て行きましょう。
タイプ1:不動産関係
不動産は、相続トラブルの筆頭原因です。
不動産は現金や有価証券との異なり分割が難しく、評価額も人によってまちまち。どのように扱っても、トラブル勃発とならざるを得ない側面を有しています。
不動産のトラブル分析
・誰がどの不動産を相続するか?
・相続財産が不動産1軒しかない場合はどうするか? など
対策は?
不動産の相続は、共有・換価・代償の3つの分割方法が存在します。
共有 … 不動産を分割せずに「みんなのもの」としてしまう
換価 … 不動産を売却して、現金にして分割する
代償 … 不動産を相続した人が、金銭で差額を他の相続人に支払う
遺言で指定するか、相続人が当事者同士で協議を行うことでこれらの方法を選択できるので、家族間の実情に合った方法を選ぶと良いでしょう。
タイプ2:両親の後見関係
介護や成年後見・家族信託など、両親の後見に関わる問題も相続トラブルの原因です。
特に両親の介護については、死後相続争いの原因となりがち。下記の通り、考え方の違いが相続分の不平不満へと発展します。
面倒を見た家族「自分たちは介護で苦労をしてきたんだ!」
別居した家族「お前たちは同居して恩恵を受けただろう!」
また、成年後見や家族信託が、相続争いに発展する分析例も少なくありません。
例えば、両親の財産を使いこんだり、相続を前にして隠匿したりする事例です。実際、成年後見を悪用した使い込みが、兄弟間で争いを招いたケースも存在します。
両親の後見関係のトラブル分析
・介護・同居に関する価値観の違い
・後見制度を悪用した財産の使い込み
・同居親族による財産の隠匿行為 など
対策は?
日本の制度には「介護をしたら相続分が大きくなる」などの法制度が存在せず、相続分については当人らの判断に任されているのが実情です。(特別な寄与がある場合を除く)
被相続人は遺言を通じてご自身の意思を反映できるので、介護や同居に関して記載すると良いでしょう。また、財産の使い込みに関しても、遺言で財産目録等を作成しておくと安心です。
タイプ3:婚姻関係
離婚や再婚などの婚姻関係は、相続において多大な影響を及ぼします。
特に多いのが「前妻や前夫との子」に関する相続問題。配偶者の相続権は離婚により切れますが、子供の相続権を切ることはできません。
そのため、ご自身の死後に「元配偶者との間にできた子」が顔を出してくることも少なくなく、再婚相手や子との間で深刻なトラブルを招くことも。
また、愛人や隠し子の存在も、表面化すると相続トラブルは必須です。
婚姻関係のトラブル分析
・前の配偶者との間の子に対する相続権
・愛人や隠し子等の存在をめぐる相続争い など
解決法は?
前の配偶者との間にできた子とは言え、ご自身の実子である事実は変わりません。
相続権はそのまま受け継がれるため、最低でも遺留分には配慮すべきでしょう。遺留分は遺言を以ってしても侵すことのできない権利です。
また、愛人や隠し子に関しては、ご自身の意思や立ち位置を遺言で示すと良いでしょう。ただし、この場合も他の相続人に対する配慮を欠くと、相続争いに発展します。