家族信託は現金以外にどんな財産を信託できるの?
家族信託は信頼できる人物に、現金や不動産の管理を委ねる、とても大切な制度です。
基本的にはどんな財産も信託対象となり得るため自由度が高く、成年後見制度など既存制度に不便を感じている方から、多くの注目を集めています。
ただし、信託財産の種類によっては運用が困難となることも。法律上は許されていても、運用面に困難が生じてしまうのです。
そこで今回は、現金など信託にできる財産と、できない財産をご紹介しようと思います。
信託できる財産とは?
家族信託は「財産の価値を有するもの」ならどんな財産でも信託可能です。
法制度上の制限は無いと言ってよく、現金や不動産・有価証券はもちろん、ゴルフ会員権や絵画・骨董品等も運用管理の対象にできます。
信託できる財産の例
現金
不動産
有価証券
絵画・骨董品
ゴルフ会員権やリゾートクラブ会員権
車や船舶などの価値ある動産
著作権などの権利
ペットや家畜 など
信託できない財産とは?
財産は様々なカタチをしており、全てが現金とは限りません。
法律上認められている財産であっても、家族信託の制度上、運用が困難な資産も存在します。下記の例を考えてみましょう。
農地や採草放牧地
農地も信託契約が締結されれば、法律上は運用管理を委ねることが可能です。
ただし、農地や採草放牧地は農地法により厳しく規制されており、農業委員会や都道府県知事の許可等がなければ、売却・建築・転用などの運用は認められません。
そのため、信託契約を締結する前に「これらの許可が得られることを前提」としなければならず、許可が得られない限り運用範囲は極めて限定的になります。
株式などの有価証券
株式などの有価証券は、証券会社を介して取引を行います。
ただし、証券会社の中には家族信託による信託取引に対応していない会社も多く、「家族信託契約を結んだから運用したい」と主張しても、なかなか認めてくれません。
最近は家族信託に対応した証券会社もチラホラと出てきてはいるものの、記事発表時点ではまだまだ浸透しきっているとは言えない状況。
株式証券は証券会社を介さずに取引するのが難しいため、現金などと比べると、家族信託の運用財産としては困難と言わざるを得ません。
まとめ
家族信託は法制度上、ほとんど全ての財産を運用可能です。
ただし、実際に運用するとなると、扱いやすい財産とそうでない財産に別れてしまうのが実情と言えるでしょうか。
現金などは委ねやすく、農地や有価証券は大変です。
(全て不可能というワケではありません)