どうして課税される!?相続税が持つ3つの社会的役割とは?
税の課税を喜ぶ人はいませんが、相続税は特に理解しにくい法律です。
「親から受け継いだ土地や財産に、どうして税金を払わないといけないの?」と疑問に感じる方は少なくありません。
しかも、相続税は受け継ぐ財産が大きくなればなるほど、負担割合が増大します。お金を持っている人ほど不満を感じやすく作られているのです。
今回は、相続税の理由について、解説を進めようと思います。
役割その1:富の再分配を促す
相続税の役割の1つは、富の再分配にあります。
莫大な財産をそのまま受け継いでしまうと、その人はその財産を使って更なる富みを築きます。
「それの何が悪いんだ!」と反駁したくもなりますが、これが繰り返されると財産を持っていない人との格差が開きすぎ、社会的な不公平感が生じます。
〇 たまたま受け継いだ不動産で、働かずに豪勢な暮らしをしている一族
〇 働いてもその日暮らしが精いっぱい。子供に教育も授けられない一族
上記のような「一族としての身分」が固定化した社会は、お世辞にも健全とは言えません。
そのため、相続税は多くの財産を有している人に課税することで、富みを一旦国に集め、様々な行政サービスを通じて「富の再分配」を行っているのです。
役割その2:特定の相続人に集中しないよう促す
日本は、法定相続分課税方式で相続税を課税しています。
この方式は一旦各人が法定相続分に応じて財産を受け継いだと仮定して、それぞれの相続人が実際に受け継ぐ財産の割合に応じて相続税を計算する方式です。
この課税方式では、実際に承継した財産の割合に応じて課税されるため、相続人同士の不公平感が生じない作りになっています。
日本は以前、家督相続と言って特定の人だけが財産を受け継ぎ、相続税を支払ってきました。
今でこそ法定相続や遺留分が浸透していますが、遺言ではまだまだ家督相続の考えに則り記されたものも残っています。
相続税はそれぞれの財産額に応じて、均等に課税する役割を担っていると言えるでしょう。
役割その3:日本の財政事情を補う
相続税は富裕層に限って徴収されるため、あまり政権への批判・ダメージを浴びにくい制度です。
また、相続税は人が亡くなるにつれて発生するため、安定的・高額の徴税ができます。
日本の財政事情を補うため、とても便利な租税制度。税収を増やすという意味でも、とても大きな役割を担っています。