手続きなしはとっても危険!相続財産はどうなるの?

相続手続きは、無理にしなくても罰せられることはありません。

(税法上の問題は別として)少なくとも民法上は手続きなしでも、とりあえず問題なく進みます。

しかしながら、「面倒だから…」と手続きを放置し続けると、後々大変な事態に発展することも。

今回は、そんな「手続きなし」のリスクについて解説を進めようと思います。

リスク1:口座が凍結される

銀行や証券会社は死亡通知を受け取ると、死亡した人の口座を凍結します。

そのため、分割協議がまとまり財産の帰属先を決めなければ、生前の被相続人の財産を自由に運用することができません。

また、被相続人と同居している場合、ライフラインの引き落とし口座になっていることもあるでしょう。こうした場合にも、速やかな手続きが望まれます。

リスク2:財産が勝手に使われる

金融機関への通知を行っていなければ、リスク1の口座凍結はありません。

しかし、これは同時に他の親族による使い込みという別のリスクを招きます。また、ご自身が把握していない口座があり、知らないうちに引き落とされているとどうでしょう。

使い込みは調査すれば判明しますが、使い込んだ人に弁済の資力がなければ、泣き寝入りするしかありません。

リスク3:借金を背負うことになる

相続はプラスの資産だけでなく、マイナスの資産も引き継ぎます。

もちろん、限定相続や相続放棄等の手続きを経ていれば大きな問題は生じませんが、手続きなしの状態が続くと、単純承認したと見なされます。

単純承認は、「プラスもマイナスも財産全てを引き継ぐ」意思表示です。

ある日突然、債権回収業者の請求が来るという事態も考えられるため、大変なリスクとなります。

コラム:判例では熟慮期間経過後の相続放棄に対応した判例も

相続は通常、熟慮機関3か月を経過した後は、単純承認したと見なします。

ただし、被相続人に多額の借金があることを相続人が知らない場合、手続きなしの状態が続き3か月経過した後であっても、相続放棄が認められた事例があります。
(最判昭和59年4月27日、民集38巻6号698頁)

リスク4:二次相続の可能性

被相続人の財産を受け継ぐ相続人が死亡した場合、相続権の世襲により二次相続が行われます。

例えば、相続人である叔母が死亡した結果、従兄弟3人が相続権を分割取得した場合などです。

相続は世襲が認められている為、時間と共に関係する相続人の数は増え、また当事者間の関係も薄くなります。

実際、2世代前の不動産を巡り、会ったことも顔も見た事もない親族同士が争うケースも。これも相続手続きをなしで済ませた、負の遺産と言えるかもしれません。

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