遺言に認められる法的効力にはどんなものがあるのか?
遺言はご自身の最後の意思として、多様な法的効力を持つ文章です。
財産の分配や承継ばかりが先立ちますが、実は隠し子の認知や相続人の廃除等も行えます。そこで今回は、遺言が持つ法的効力の範囲について解説。それぞれの役割や目的をご紹介しようと思います。
財産の承継や処分
遺言はご自身の財産を受け継ぐ人や割合を指定します。
日本の法律は法定相続人に相続分を指定していますが、遺言がある場合はこの相続分に優先して適用されます。
ただし、配偶者や子には遺留分が定められているため、これを下回る配分は修正される可能性があるでしょう。
相続人の廃除
親族間にトラブルがある場合、相続人を廃除する決定も下せます。遺言で廃除された相続人は財産を受け継ぐことができません。
ただし相続人の廃除には、虐待や著しい暴言などの相応の理由が必要です。
「愛人に財産を渡したい」等の理由で相続人を廃除する旨遺言しても、法的効力が認められる公算は限りなくゼロに近いでしょう。
隠し子の認知
遺言では、隠し子などの婚外子の認知も可能です。
婚外子はそのまま放置すると、法的に財産を相続することができません。
「父親として婚外子にも財産を遺したい」とお考えであれば、遺言で認知を行い法的効力を持たせる配慮が必要です。
遺言執行者の指定
遺言の内容を実現するために、遺言執行者を立てるケースもあります。
遺言が指定した執行者には法的効力が認められ、遺言内容に従い預貯金や不動産の管理や手続きを行います。
相続人同士の関係が悪い場合は特に有効で、遺言執行者が間に立つお陰でスムーズに分割が進んだことも少なくありません。
なお相続人の廃除・隠し子の認知を行う場合も、遺言執行者が必要です。
未成年者の後見人の指定
未成年の子がある時は、ご自身の死後が心配です。
もちろん配偶者が存命の場合など、親権者がある場合は問題ありません。しかし親権者がいない場合、遺言で未成年の子の後見人を指定することができます。
また遺言では、後見人が財産の使い込みなどしないかを監視する「後見監督人」も指定できます。
お墓などの管理
遺言では、お墓や祭壇を管理する人も指定できます。
法的には祭祀(さいし)と呼ばれ、遺言で指定された人が承継します。最近は管理の負担から相続人の間で争いに発展するケースも増えています。
こうしたトラブルを防ぐ意味でも、承継者を定める方も多いようです。