遺言方式はどれがいいのか?メリットやデメリットは?
基礎控除の引き下げに伴い、遺言による相続を検討する方も増えてきました。
ところが遺言には様々な方式があり、メリットやデメリットがわかり難いところが欠点です。そこで今回は、メリットやデメリットを遺言形式別にまとめ、お伝えしようと思います。
自筆証書遺言
自筆証書遺言は文字通り、遺言者が自身で作成する方式です。
自筆証書遺言のメリットとは?
自筆証書遺言の最大のメリットは、費用が一切かからないことです。
また誰にも知らせずに作成しておくことができるので、内容はもちろん存在自体を隠しておくことができます。
家中に不安がある場合など、「時期を見て自分で公開したい」とお考えのケースもあるでしょう。こうした状況においても、自筆証書遺言が活躍します。
自筆証書遺言のデメリットとは?
遺言は制度上、自筆証書遺言のワープロによる作成を認めていません。
遺言者が全文を自筆で書き日付を印し、印鑑を押すことが必要です。また自筆証書遺言は裁判所の検認を受けなければならず、この点もデメリットと言えるでしょう。
更に言えば、自筆証書遺言は存在を秘密にできる一方、発見者による偽造や変造も考えられます。
公正証書遺言
公正証書遺言は本人が公証人に内容を口述し、公証人が遺言書を作成する形式です。作成の際は証人2名が立ち合い、原本は公証役場に保存されます。
公正証書遺言のメリット
公正証書遺言は本人ではなく、公証人が文章を作成します。
形式も遺言として相応しい形に整えられるため、内容不備による無効を心配する必要がありません。また公正証書遺言は原本が公証役場に保管されるため、逸失や紛失によるリスクが無い点も魅力です。
更に公正証書遺言は、裁判所の検認が免除されています。これによりスピード感のある執行が可能となるなど、多くのメリットを有しています。
大切な財産を確実かつ正確に承継させたい場合、有効な手段と言えるでしょう。
公正証書遺言のデメリット
公正証書遺言の欠点は、費用がかかること。証書作成の手数料の他に、証人に支払う日当も求められます。(具体的な費用は相続金額により変動します)
また証人2人が立ち会うため、遺言の存在や内容が知られてしまいます。存在を証明できる一方で、知られたくない人には向かないかもしれません。
秘密証書遺言
秘密証書遺言は遺言者が作成した遺言書を、公証人や証人立ち合いの下に封印する方式です。遺言者が遺言書を封入し、公証人や証人が封書に署名します。
秘密証書遺言のメリット
秘密証書遺言は公正証書遺言と違い、内容自体に立会人が関与することはありません。そのため内容を秘密にしたまま、存在だけを証明することが可能です。
また費用も公正証書と比べると割安で、11,000円で作成できます。
秘密証書遺言のデメリット
秘密証書遺言は内容自体の確認が行われず、不備がある場合は自筆証書遺言同様に、無効となります。
また裁判所の検認も必要です。そのため、「内容を秘密にしたまま存在を証明したい」場合以外はあまり意味がありません。
そのせいか、最近は年間利用者数も減少傾向にあります。