遺言による贈与!「遺贈する時」の注意点とは?
遺言での財産承継には、相続と遺贈の2種類が存在します。
相続は子や配偶者に財産を譲り渡す行為である一方、遺贈とは配偶者の妻やお世話になった知人など、「第三者」に対して財産を遺す行為です。
両者は制度としては似ています。しかし細かな部分では扱いに違いがあり、注意が必要です。今回は、遺贈の際の注意点をご紹介しようと思います。
遺贈したい人をハッキリすること
遺贈は通常、法定相続人以外が選ばれます。
つまり遺言だけがその権利を証明し、遺言がなければ財産を受け継ぐことができない状態にあるわけです。
そのため遺贈する場合の遺言作成は、ミスが無いように注意が必要。特に受遺者(財産を受け取る人)の特定は重要です。
例えばお世話になった団体に遺贈するときは、「遺贈相手がお世話をしてくれた個人なのか、所属団体なのか」を明記しましょう。
また個人に遺贈するときは、氏名や住所・生年月日・関係を明記。遺言による贈与として、確実に財産が行き渡るように配慮が必要です。
受遺者の承諾も必要
遺贈は遺贈者(財産を遺贈する人)が一方的に指定できるため、受遺者の承諾は必要ありません。
ただし、これはあくまで「法律上の話」です。
実際の受遺者は「自分は財産を受け取るに相応しくない」と考え、辞退するケースも少なくありません。特に団体などの法人は、こうした受贈を規則として禁止しているケースもあるほどです。
確実に遺贈を進めるためには、事前に受遺者の内諾を得ておくことオススメします。
受遺者が先に死亡する可能性も考慮する
最近は「終活ブーム」の影響か、遺言をかなり早い段階で用意する方が多いです。そのため、「自分より先に受遺者が亡くなる」というケースも増えています。
受遺者が先に死亡した場合、遺贈は効力を失います。
こうした状況では、遺言を改めて書き直す対策が必要です。何度も書き直したくない方は、事前に受遺者が先に死亡した場合の思案を、遺言に記しておくことをオススメします。
遺言執行者を指定する
財産に不動産が含まれる場合、相続人全員が登記申請をしなくてはなりません。
しかし受遺者は法定相続人から見ると、所詮は第三者です。両者の関係が悪化してトラブルに発展するケースも少なくありません。
この問題を解決してくれるのが、「遺言執行者の指定」です。
弁護士などを遺言執行者として指定すると、遺言執行者を登記義務者として申請することができます。