38年ぶりに改正された相続法で、相続はどう変わる?
相続に関しての規定を定めている相続法が、38年ぶりに大きく改正されたことをご存知でしょうか?
実際に施行されるのは2019年からとなっていますが、今回の改正ではどういった点が変わることとなったのでしょうか?
相続法の変更された内容について、紹介していきます。
遺産分割に関わる改正について
今回、改正された点は主として5つあるのですが、その内容で目立つのが、遺産分割に直接関わる点についてです。
まずは、遺産分割に関わる点がどう改正されたのか、見ていきましょう。
まず改正されたのが、相続における自宅の取り扱いです。
これまでであれば、自宅が被相続人の名義だった場合は、そのまま相続財産として扱っていたため、夫が亡くなった場合に主な財産が自宅だった場合は自宅を売却して、その代金の半分を子どもたちが相続するということになる場合も少なからずありました。
しかし、それでは妻がそのまま自宅に住みたい場合に困ってしまうことがあるので、今回は配偶者居住権というものが作られることになりました。
これは、たとえ自宅の所有権を妻が持っていない場合でも、そのまま自宅に住み続ける権利がある、ということです。
この権利は、自宅の価格と妻の年齢によって評価額が付けられることになり、例えば自宅に5,000万円の評価額が付けられた場合、妻が相続財産としてその居住権を2,500万円の評価額で得るとともに、子どもが曽於自宅の所有権を2,500万円の評価額で得るということになります。
そうすれば、残った財産についても妻と子どもで分け合うことになるため、妻の今後の生活にもゆとりができるでしょう。
その際は、居住権登記をしておくのがおすすめです。
また、自宅で相続人が被相続人の介護をしていた場合、被相続人の妻については相続権がなかったためにその後見度を計算されていなかったのですが、介護に貢献していた場合は相続権こそ認められないものの、その寄与分は特別寄与料という形できちんと認められることとなりました。
遺留分についても、これまでは遺言の内容によっては遺留分以下の財産しか相続できないこともあり、遺言に従うか、それとも法律を優先して遺留分を保証するかという問題がしばしば起こっていたのですが、今回の改正で遺留分の保証が優先と認められることになりました。
遺産分割に関しては、この3つが改正されています。
それ以外に改正された点は、どういったことでしょうか?
その他の改正点
それ以外に改善された点としては、遺言の作成についての変更があります。
これまでであれば、自筆証書遺言を作成するときは本文から財産目録まですべて自筆でなければいけなかったのですが、財産目録についてはパソコンで作成した印刷物であっても認められることとなりました。
また、自筆遺言証書を法務局で保管できる制度も創設されています。
この改正によって、遺言書の作成はもちろんのこと、保管についても簡単になり、これまでよりも手軽に遺言を作成できるようになったのです。
もう一つ変更されたのが、銀行預金の取り扱いについてです。
これまでは、本院が亡くなってしまうと預金をはじめとした金融資産は相続が確定するまでは引き出すことができなかったのですが、今後は仮払いとして引き出すことができるようになりました。
ただし、その際は相続人ごとに法定相続分の3分の1までという制限がついています。
これで、遺産分割協議が終わる前にも預金を引き出すことができるようになるので、故人の葬儀代金や配偶者の生活費などに使うことが可能となります。
まとめ
相続について民法で定められている内容を示す相続法は、1980年以来38年ぶりにおおきく改正されました
以前の改正では問題がなかった、5つの点について改善されています。
この改正は、主に時代の流れに伴う情勢の変化に応じてその内容を決められています。
今後、さらに社会の在り方が変化していった場合、再び改正されるかもしれません。