相続における調停、審判が終わるまでにかかる期間は?
相続人同士の協議によって行われる相続は、それぞれの相続人の意見がぶつかりやすく、場合によっては調停に進むことがあります。
また調停でも結論が出ない場合は、裁判所による審判によって相続財産の分け方が決定されます。
では相続における調停、審判が終わるまでには、一体どれくらいの期間がかかるのでしょうか?
相続における調停が終わるまでにかかる期間は?
相続における調停は、家庭裁判所に調停を申し立ててから数ヶ月後に、“調停期日”という裁判所に相続人が出向く日が決定されます。
この調停期日は約2ヶ月に1回存在し、その度に相続人が集まって、裁判所の担当者を交えながら財産の分け方について話すことになります。
調停における話し合いの一般的な形式は、意見がぶつかっている相続人が1人ずつ裁判所の担当者と話し合うという形式です。
もちろん、全員が一堂に会して話し合いをするケースもあります。
相続における調停がスタートしてから、意見がまとまり財産の分け方が決まるまでにかかる期間は、平均で1年前後だと言われています。
ちなみに半年以内で終わる場合は全体の30%~40%、半年~1年で終わる場合は30~40%、1年以上かかる場合は30%前後となっています。
調停期日は約2ヶ月に1回存在するため、期間を回数に換算すると平均で約6回、調停による話し合いが行われていることになります。
ただ調停による話し合いが11回以上に及ぶ場合が全体の約20%、21回以上に及ぶ場合も約3%あるため、3年近く調停が続いているケースもあります。
相続における審判が終わるまでにかかる期間は?
相続における審判は、調停で話がまとまらない場合に行われます。
審判では、裁判官から意見がぶつかっている相続人に対して事実確認がされ、証拠などをリサーチした上で、最終的に財産の分け方が決定されます。
審判に臨む相続人は、ほとんどが弁護士への依頼をしているため、実際審判の場に相続人が足を運ぶケースは多くありません。
もし証拠や意見が出尽くしている場合、審判自体は30分程度で終了することもあります。
ただ相続財産の分け方が決まるまでにかかる期間は、全体の約70%が1年以上となっています。
したがって、審判自体にかかる時間は短いとはいえ、相続財産の分け方が決定するまでの期間は非常に長いと言えます。
場合によっては3年以上の期間が必要なケースもあり、審判まで進むことがいかに相続人にとって負担になるかがわかります。
審判が行われる場(審理)が開かれる回数で言うと、平均回数は約10回となっています。
また多いケースでは、21回もの審理が行われることもあります。
ただこれはあくまで、調停と審判のトータルの期間、回数を合計したものです。
つまり審判だけで3年かかったり、審理だけで21回開かれたりするということではありません。
調停や審判は長引くほど損をしやすい
相続における調停や審判の期間が長くなるほど、相続人は最終的に損をしやすくなります。
なぜかと言うと、調停や審判に進んでしまった場合、ほとんどのケースで最終的に法定相続分にしたがって財産を分けることになるためです。
協議によって意見がぶつかっていなければ、それぞれの相続人がうまく相続財産を引き継げたにも関わらず、調停や審判に進んでしまったことで、結局意見が通らず、かえって引き継げる財産が少なくなってしまうというケースは往々にしてあります。
まとめ
相続における調停、審判が終わるまでにかかる期間について解説しました。
平均的な期間であっても、調停、審判が終わるまでには非常に長い期間がかかることを理解していただけたかと思います。
また相続における調停、審判にかかる期間が長くなっても、それぞれの相続人が期待する結果を得られるとは限りません。
むしろ損をしてしまう可能性が高くなるため、注意が必要です。