相続がスタートした後に行う各手続きの内容と締め切り
被相続人が亡くなり、相続がスタートしたら、相続人は数多くの手続きを済まさなければいけません。
また各手続きには締め切りがあるため、締め切りを事前に知っておき、優先順位を付けて手続きを済ませていく必要があります。
したがって今回は、相続がスタートした後に行う各手続きの内容、締め切りについて解説します。
相続スタートから1週間以内に済ます手続きについて
相続スタートから1週間以内に済ます手続きには、被相続人の“死亡届”の申請手続きが挙げられます。
相続スタートから1週間以内に被相続人の死亡届を申請することによって、相続人は被相続人の葬儀を執り行うことができます。
申請は親族のいずれかが行い、必ずしも特定の人物が行う必要はありません。
もっと言えば、親族だけでなく血の繋がっていない同居人や、後見人が手続きをすることも可能です。
相続スタートから1ヶ月以内に済ます手続きについて
相続スタートから1ヶ月以内に済ます手続きには、遺言書があるかどうかの確認、そして法定相続人の調査、確定手続きが挙げられます。
これは具体的に締め切りが1ヶ月以内と決まっているわけではありませんが、一般的には1ヶ月以内または1ヶ月前後で済ますのが望ましいとされています。
遺言書があるかないかによって、財産の分け方は大きく変わってきますし、しっかり法定相続人の調査、確定をしないと、協議後に新たな法定相続人の存在が発覚したとき、すでに終了している協議の内容が認められなくなります。
相続スタートから3ヶ月以内に済ます手続きについて
相続スタートから3ヶ月以内に済ます手続きとして挙げられるのは、相続放棄あるいは限定承認の申請手続きです。
相続放棄が、被相続人の財産、負債の一切を相続しないことであるのに対し、限定承認は受け取る財産の範囲内で負債も相続します。
つまり、被相続人の負債を一切受け取りたくないという相続人は相続放棄、負債を受け取りたくないものの少しは財産を受け取りたいという相続人は限定承認を選択するということです。
ちなみに相続放棄は、正当な事由がある場合のみ、申請手続きまでの期間を延ばしてもらうことができます。
相続スタートから10ヶ月以内に済ます手続きについて
相続スタートから10ヶ月以内に済ます手続きとしては、税金(相続税)の申告手続きが挙げられます。
これは必ず締め切りを守らなければいけない手続きであり、もし締め切りを過ぎると申告漏れになってしまいます。
また締め切り前に焦って手続きをしてしまうと、実際相続人が受け取った財産よりも低い金額で申請してしまう可能性があるため、注意が必要です。
実際受け取った財産よりも低い金額で申請すると、追徴課税がされるためです。
相続スタートから1年以内に済ます手続きについて
相続スタートから1年以内に済ます手続きには、遺留分を取り戻すために行う“遺留分減殺請求”の手続きが挙げられます。
遺留分減殺請求は、被相続人の配偶者や子、直系尊属であれば申請手続きをすることができます。
それほど難しい手続きではありませんが、締め切りギリギリに済まそうとすると、請求額の計算などに手間取ってしまう可能性があるため、早めに準備しておきましょう。
ちなみに相続欠格者や相続人廃除をされた方、相続放棄をした方には遺留分が認められないため、当然遺留分減殺請求の手続きをすることはできません。
もちろん、1度遺留分の放棄をした方も同様です。
まとめ
相続がスタートした後に行う各手続きの内容、締め切りについて解説しました。
相続スタート後に行う手続きは、もちろんこれだけではありません。
被相続人が亡くなった後は、親族などに連絡したり、葬儀の準備をしたり、年金受給停止の手続きをしたりと、相続人は奔走することになります。
したがって、各手続きの内容と締め切りを把握し、優先順位を付けておくというのは、非常に大事なことなのです。