相続について考えるなら、不動産鑑定をしたほうがいい?
相続について考える時には、様々な財産を整理していくこととなります。
その中で、特に複雑となるのが不動産の相続についてです。
不動産の相続については、不動産鑑定を考えた方がいいといわれるのですが、果たして本当に必要なのでしょうか?
不動産鑑定とは
不動産鑑定は、あまり依頼したことがないという人も多いでしょう。
不動産鑑定は、どのようなことをするのでしょうか?
また、誰に依頼すればいいのでしょうか?
不動産鑑定というのは、不動産が持つ価値について鑑定することです。
不動産は、固定資産税などの計算の際に、評価額が示されています。
また、国税庁からは路線価という基準となる価格も提示されています。
しかし、実際に不動産が売買される価格については、こうした価格とは別に考えられます。
その時に、売買の適正価格を示してくれるのが不動産鑑定です。
不動産鑑定を行うのは、不動産鑑定士です。
不動産鑑定士となるには、不動産鑑定士試験に合格する必要があります。
合格率は5%ほどで、毎年100名程度しか合格できない難関なので、不動産鑑定士の人数は限られています。
この不動産鑑定士が、不動産の価値について公正な目線から、適正に定めた価格が不動産の正しい価値として扱われることが多いのです。
税理士に相談する人も多いのですが、その場合は不動産の時価と大きく異なるケースもあるので、基本的に不動産鑑定士の定める価格のほうが実際の取引額に近くなります。
相続においての不動産鑑定の必要性は?
それでは、相続においては不動産鑑定がどう必要とされるのでしょうか?
不動産鑑定の必要性について、考えてみましょう。
まず、相続の際に相続人となるのが、兄弟2人だとします。
この場合、本来であれば二人で財産を半分ずつ受け取ることになりますが、財産の多くのが不動産だった場合、その価値が重要となります。
例えば、自宅に兄が住むつもりだった場合、弟にはその自宅の価格の半分を現金で支払うこととなります。
この時、財産評価基本通達に基づいて税理士が算定した価格が6,000万円だったとしたら、兄は弟にその半分となる3,000万円を支払うこととなります。
ところが、その不動産をもし売ろうと思った場合は、1億円の価値があったとしたら、それが時価となります。
時価に従うと、兄が弟に支払う金額は5,000万円となるため、3,000万円だと弟に不利な結果となるでしょう。
しかし、2人で不動産の価値を言い争っても、決定打がないため不毛なこととなります。
そこで、不動産鑑定士に依頼して、その不動産の正確な価値を鑑定してもらえば、正確な不動産の価値を知ることができるのです。
不動産というのは、多くの場合価値が高いため、1割程度の誤差であっても大きな金額の違いとなりやすく、遺産分割トラブルの原因となるのです。
お互いが納得のいくように分け合うことができればいいのですが、そうでなければなかなか解決しないこともあります。
こうしたトラブルを防ぐためにも、相続について考える際には一度不動産鑑定を行うのがおすすめです。
不動産を円満に相続できるように、不動産鑑定を活用しましょう。
まとめ
不動産鑑定は、あまり馴染みがないかもしれませんが不動産の正確な価値を知るために重要なものです。
不動産鑑定は不動産鑑定士の独占業務となっているため、必要な場合は不動産鑑定士に依頼しましょう。
不動産鑑定の結果に基づいて財産分与を行うのが、不動産の時価に最も近い価格となるので、お互いに納得のいく結果につながりやすいでしょう。
以上のことから、トラブルを防ぐためにも、不動産鑑定を活用した方が良いと思います。