不動産にかかる相続税対策!~贈与と相続、どちらがいい?~
不動産の相続について、死亡後に相続するのではなく生前に贈与するという方法がありますが、相続と贈与はどちらが良いのでしょうか?
不動産の相続と贈与について、いくつかの項目で比較してみて、どちらがいいのかを考えてみましょう。
相続と贈与の違いは?
まず、相続と贈与にはどのような違いがあるのでしょうか?
相続と贈与の違いから考えてみましょう。
不動産において、相続も贈与も同じように、所有者の名義を変更します。
ただし、相続というのはその不動産の持ち主が亡くなった時に、被相続人へと名義を変更することをいいます。
一方、贈与というのは所有者がまだ生きているうちに、不動産の名義変更を行うことです。
また、不動産の名義変更を行う際に、たとえ親子の関係があっても、代金を支払うのであればそれは売買にあたります。
贈与でありながら代金を支払う、ということにはならないので、注意してください。
贈与と相続の違いとしては、課せられる税金の違いもあります。
贈与の場合は贈与税となり、相続の場合は相続税となります。
名義変更をしたいという人の中には、この贈与税を忘れている人も多いため、忘れないように気を付けましょう。
それでは、不動産の名義変更をする場合、贈与という形と相続という形ではどちらがいいのでしょうか?
どちらも名義を変更することですが、贈与税と相続税の違いがあるので、どちらがいいのかを考えてみましょう。
贈与税と相続税の違いは?
贈与は生前に行うものですが、実は贈与を行ってから3年以内に相続が開始された場合は、たとえ生前に贈与していても相続税が課せられます。
贈与したからといって相続税がかからないとは限らないので、注意してください。
親子間の贈与においては、贈与を受ける子が20歳以上の場合、特例贈与財産用の計算表を用いて贈与税が計算されます。
その場合、贈与される財産が200万円以下の場合は税率が10%となり、それ以降は段階的に税率が上がっていき、最大で4,500万円超であれば55%が課税されます。
子どもが未成年の場合や、兄弟間や夫婦間での贈与の場合は一般贈与財産用の計算表が適用され、税率が切り替わる金額の違いや控除額などが異なっており、最大値は3,000万円超で55%となります。
また、いずれの場合も年間で110万円までの基礎控除が適用されます。
しかし、贈与の場合は父母が60歳以上、子どもが20歳以上の場合に選択できる相続時精算課税制度というものがあります。
この制度を利用した場合、基礎控除の110万円は適用されなくなりますが、税率や控除額が異なります。
まず、控除額は複数年で利用できるものとなり、限度額は合計で2.500万円となります。
さらに、税率についてはこの控除額を超えた分に対して、一律20%として計算されます。
また、実際に相続が発生した際には、それまでに支払った贈与税を控除することも可能となります。
一方で、相続税の場合は基礎控除額が大きく、基礎控除額が3,000万円と法定相続人1人につき600万円となっています。
つまり、法定相続人が2人の場合は基礎控除額が4,200万円となるのです。
また、相続税は最低1,000万円以下で10%ですが、相続する財産が6億円を超える場合は最大で55%となります。
この税率が切り替わる金額についても、相続税のほうが有利になります。
そのため、相続という形のほうが税制上はメリットが大きいのですが、それでも生前贈与をするメリットとして、その財産を引き継ぐ人を選ぶことができる、という点があります。
特に不動産の場合、財産分与するためには売却しなければいけないことも多いので、贈与という形をとるメリットが大きいでしょう。
どちらがいいのか、自分のケースに当てはめて考えてみてください。
まとめ
不動産の名義変更には、贈与と相続、売買の3つがあります。
贈与の場合、相続よりも控除額が低く、贈与税も相続税より高くなることが多いのですが、その代わりに相続する人を選ぶことができるというメリットもあります。
相続と贈与のどちらがいいのかは、それぞれの都合によって異なるでしょう。
自分の場合はどちらがいいのか、相続する前に考えてみるといいですね。