相続人が行方不明!手続きが進められない場合の対処は?
相続をする際は、相続人全員の合意の下で手続きを進めていかなければいけません。
しかし、相続人の中に行方不明の人や音信不通の人がいる場合、合意を得るのも難しくなります。
その場合は、どう対処したらいいのでしょうか?
連絡が取れない相続人は無視できる?
相続が発生した際は、まず被相続人の戸籍を用意します。
その時に、今まで知らなかった兄がいた、ということが発覚する場合もあります。
実は父親が再婚で、先妻との間に子どもがいた場合にこのような事態となることが多いのですが、その子どもにももちろん相続の権利があります。
また、兄弟はいるもののずっと音信不通で、今はどこに住んでいるかわからない、ということもあり得ます。
同様に、ずっと昔に家を出て現在は行方不明ということもあるでしょう。
この場合も、やはり相続する権利はありますが、どの場合でも連絡を取るのは簡単ではないでしょう。
連絡が取れない相続人がいる場合、遺産相続の手続きはどうしたらいいのでしょうか?
基本的に、相続人全員の合意を得なければ不動産の登記もできず、また銀行口座の払い戻し請求なども不可能です。
相続の手続きが進められないままだと困ってしまいます。
しかし、全員が同意していない遺産分割協議については無効となってしまい、また遺産分割の請求については時効もないため、後ほどトラブルになることを避けるためにもできる限りの手は尽くしましょう。
ケース別の対処方法について
まず、長年音信不通の兄弟や、今まで知らなかった兄弟などがいる場合の対処方法としては、相手との連絡を取ることから始めます。
そのためには、相手の住所を調べましょう。
相手の住所を調べるには、被相続人の戸籍謄本からたどっていきます。
通常であれば、他人の戸籍謄本を調べることはできませんが、相続が関係していて家族であれば、取得することは可能となります。
そうして、現在の本籍地がどこになっているかを確認してみましょう。
本籍がわかっても、そこに住んでいるとは限りません。
現住所を知るためには、戸籍の附表というものを取得します。
それで現住所がわかった場合は、手紙を出して現状を伝え、電話でもいいので遺産分割協議に参加してもらいましょう。
これで連絡がつかない場合、個人で行えることがなくなるため、弁護士に相談してみましょう。
たとえ本人が無視していたとしても、弁護士からの連絡であれば無視できないことが多いので、間に立ってもらうことも考えて任せてしまってもいいでしょう。
音信不通が解消できなかった場合、あるいは完全に行方不明となっている場合は、不在の状態で遺産分割協議を進めていかなくてはいけません。
その場合は、まず不在者財産管理人の選定を申し立てましょう。
これは、代理でその人の財産を管理する権限を持つ人を選任するという制度で、家庭裁判所に申し立てることで選任してもらいます。
本人の代理として遺産分割協議に参加してもらうということになります。
また、7年以上行方が分からないと判断される場合は、失踪宣告をすることで実質的に死亡したとみなされるようになります。
家庭裁判所に申し立てて認められれば有効となり、本人が死亡したとみなして遺産分割協議を行うことができます。
相続の際に連絡が取れない相続人がいる場合は、こうした手続きをして遺産分割協議を進めていきましょう。
まとめ
相続人の中に連絡が取れない人がいた場合でも、それを無視して相続を進めていくことはできません。
その相手が単に音信不通なのか、それとも行方不明となっているのかによって対処方法は異なりますが、それぞれの状態に応じて対処をして、遺産分割協議を進めていく必要があります。
後のトラブルを避けるためにも、必要な手続きをしておきましょう。