遺言書のさまざまな活用法を知って思惑通りの相続をしよう
被相続人が作成する遺言書は、相続においてさまざまな効果を発揮する重要な書面です。
これから遺言書を作成する可能性がある方、つまり被相続人となる可能性がある方は、遺言書のさまざまな活用法を知って、思惑通りの相続をするための準備をしておきましょう。
どんな活用法があるのか、具体的に解説します。
遺言書の活用法①財産の分け方を指定する
遺言書の代表的な活用法として挙げられるのは、相続人による財産の分け方の指定です。
遺言書が作成されていない場合、相続人は法定相続分通りに財産を受け取ることになりますが、遺言書が作成され、なおかつそこに財産の分け方が記載されている場合、相続人はそれに従って財産を分けることになります。
例えば配偶者1人、子ども2人が相続人となる場合、遺言書が作成されていないと、配偶者が相続財産の半分、子どもが残りの半分をさらに半分に分けて受け取ることになります。
ただ遺言書で財産の分け方を指定すれば、子どもが受け取る分を多くするなど、ある程度被相続人の思惑通りの相続ができるようになります。
遺言書の活用法②相続人を廃除する
相続人の廃除も、遺言書の代表的な活用法の1つです。
被相続人に対して虐待をしていたり、非行を行っていたりする相続人がいる場合、その事実が認められれば、被相続人は遺言書を活用してその相続人を廃除することができます。
つまり、嫌な思いをさせられた相続人における相続人としての権利を、遺言書でなくすことができるということです。
遺言書の活用法③遺産分割の方法を決める、遺産分割を制限する
遺言書を活用して、相続人における遺産分割の方法を決めたり、遺産分割を制限したりすることができます。
遺産分割の方法には“現物分割”、“換価分割”、“代償分割”があり、どの方法を相続人に実行させるかを遺言書に記載すれば、相続人はそれに従って遺産分割をします。
また遺産分割の方法を決めるだけでなく、“遺産分割の方法を決める人物”を遺言書で指名することも可能です。
つまり被相続人に指名された人物が遺産分割の方法を決め、相続人がその人物が決めた遺産分割の方法を実行するということです。
また相続がスタートしてから5年までであれば、被相続人は相続人による遺産分割を制限することもできます。
例えば、被相続人が遺言書に“相続開始から2年間までの遺産分割を禁止する”と記載した場合、相続人は被相続人の死後から2年経過しないと、遺産分割を始めることができません。
遺言書の活用法④後見人を決める
被相続人の子どもが未成年で、被相続人が亡くなることによって親がいなくなってしまう場合、遺言書を活用して子どもの後見人を決めることができます。
後見人とは、未成年である子どもの代わりに、財産管理などを行ってくれる第三者のことを言います。
被相続人に配偶者や子ども以外の親族がいない場合は、必ず遺言書を活用して子どもの後見人を決めておきましょう。
遺言書の活用法⑤遺言執行者を決める
被相続人の銀行口座の名義変更、不動産の登記など、相続を行う上で必要になる手続きを執行する人物(遺言執行者)も、遺言書を活用して決めることができます。
ちなみに遺産分割の方法を決めるときと同じように、直接遺言執行者を決めるだけでなく、“遺言執行者を決める人物”を遺言書で指名することもできます。
まとめ
遺言書のさまざまな活用法について解説しました。
遺言書と聞くと、財産の分け方や財産を受けとる人物を指定するものというイメージがありますが、それ以外にもさまざまなことを指定・決定することができます。
また被相続人がもっと思惑通りの相続をしたいのであれば、毎年新しい遺言書を作成し続けることをおすすめします。
そうすれば、被相続人が亡くなる直前の思惑が反映された遺言書によって、相続が行われることになります。