家族信託における贈与税はいったい誰に課税されるのか?

今回は家族信託における贈与税が、いったい誰に課税されるのかについて、解説を進めようと思います。

結論から言うと「受益者」に課税されることになるのですが、家族信託の場合は委託者から受託者に財産が移転するため、少々腑に落ちない部分もありますよね。

贈与税の性質と家族信託の取扱いを分析し、このあたりの理屈を解き明かそうと思います。

贈与税は「利益を受ける人」に課税される

通常、贈与契約により財産の移転が行われた場合、「財産を受け取った人(受贈者)」に対して納税義務が生じます。

多くのサイトではこのように記載されているため、ついつい「財産をもらった人が納税しなければいけないんだな」と考えてしまいますよね。

ところが、これは厳密には誤りです。正確に記載すると、贈与契約により「利益を受ける人」に対して納税義務が発生します。

「財産を受け取った人=利益を受け取った人」ではない

通常の贈与契約であれば、「財産を受け取った人」は「利益を受け取った人」。

つまり、「財産を受け取った人=利益を受け取った人」の図式が成立します。受け取った財産は自身のものですから、当然といえば当然の話です。

ところが、家族信託契約の場合、受託者が受益者になるとは限りません。

財産を受け取って運用管理を行う受託者とは別に、受託者が財産を管理することにより利益を享受する「受益者」存在することもしばしば見られます。

つまり、家族信託の場合は両者がイコールの関係にならず、「財産を受け取った人(受託者)≠利益を受け取った人(受益者)」という図式になります。

受益者が納税しなければならない

結論として、納税を行わなければならないのは「受託者」ではなく「受益者」です。

仮に家族信託において受託者に納税義務が生じるとすると、受託者は自身が利益を受けるワケでもないのに、贈与税を支払わなければならないという不思議な図式が生じます。

日本の税制は「受益者負担の原則」という考え方を取っており、税金を納める時は原則として「実際に利益を受ける人」が納税を行わなければなりません。

この考え方に則ると、やはり家族信託の際の納税義務は「受益者」にあるべきです。

なお、委託者=受益者の場合は、受託者に対する形式的な財産の移転が生じても、贈与税の問題は生じません。これも日本の税制の考え方に則ると、当然の話だと言えるでしょう。

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