相続トラブルは長引くと危険?~相続が遅れるデメリットとは?~
相続の際にトラブルが起きるのは、何も珍しいことではありません。
しかし、いつか解決するだろうと悠長に構えていると、思わぬ損をしてしまうことがあります。
相続トラブルが長引くと、どのようなリスクが生じるのでしょうか?
リスクの例と、早期解決の方法について解説します。
相続が遅れるリスクとは?
それではまず、相続トラブルの解決が遅れることで生じるリスクについて解説します。
相続の際にトラブルが起きると、どういったリスクが生じるのでしょうか?
その理由は、主に相続税の申告という点にあります。
相続について「いつまでに定めなければならない」という期限は、法律上特にありません。
しかし、相続税の申告については、相続の発生から10か月以内という明確な期限があります。
この申告期限に間に合わなかった時には、様々なリスクが生じることとなるのです。
まず、10か月を過ぎてしまうと、配偶者の相続分に適用される相続税の軽減制度が適用されなくなります。
配偶者に対しては、法定相続分として定められている財産であれば、相続税は免除されます。
それがなくなるため、相続する財産が多ければ大きなリスクとなるでしょう。
また、居住用住宅地などに適用される小規模宅地等の評価減の特例についても、適用されなくなります。
最大で80%の評価額が減額されるため、この特例が適用されるはずだったのに適用できなくなると、相続税が大きく増える可能性が高くなってしまいます。
農地の相続については、引き続き農地として利用する場合は納税猶予が受けられるのですが、これも受けることができなくなります。
農地は広いことが多いため、場所によっては相続税が大きな金額となり農地を手放す必要も出てくるかもしれません。
さらに、相続税を金銭ではなくもので納める物納についても、期限を過ぎると申請できません。
不動産が主な相続財産であり、現金などがあまりない場合は物納を利用することがありますが、それができなければ不動産の売却が終わるまで利子税が加算されることになってしまいます。
遺産分割協議がまとまらず、相続が遅れることにはこういったリスクがあります。
それでは、早期に相続トラブルを解決するためにはどうしたらいいのでしょうか?
早期解決のために必要なことを考えてみましょう。
相続トラブルを早期に解決するには?
相続トラブルを早期に解決するには、お互いに納得するような分け方ができれば一番いいのですが、それが難しい場合もあるでしょう。
それでは、どうしたらいいのでしょうか?
一番いいのは、早期に専門家に相談して間に立ってもらうことです。
誰もが自分の利ばかりを主張していると、いつまでも決着がつくことはありません。
そこで、第三者によって客観的に判断してもらうのです。
ただ、それでも納得がいかない人もいるでしょう。
どうしても納得がいかない場合は、家庭裁判所に申し立てて遺産分割審判をしてもらいましょう。
大した額ではないのに、大げさだと思う人もいますが、裁判所の遺産分割審判の件数は年々増えていて、そのうち約3割は1,000万円以下の財産についてとなっています。
もちろん裁判となれば費用も掛かりますが、相続税の申告が遅れた際のリスクとどちらが高くつくのかを考えて、相続税のほうが高くつくようであれば裁判を考えてみましょう。
相続トラブルが長引くと、相続人同士の関係も悪くなることが多いため、今後のためにも早期解決を目指してください。
まとめ
相続におけるトラブルは、年々増えつつあります。
トラブルが長期化して相続する財産が決まらなくても、相続税の申告期限はやってきます。
そのため、長引くと大きなリスクにつながる場合もあります。
早期解決を目指すなら、専門家に相談して、それでも無理なら裁判を申し立てることも視野に入れてみてはどうでしょうか?
お互いに相手のことを尊重しつつ、納得のいく解決を目指しましょう。