相続対策はするべきなのか?相続税にまつわる3つの問題点
平成27年に相続税法が改正され、基礎控除の引き下げが決定しました。
その結果、新たに課税対象となる事例が増え、より多くの相続対策が望まれています。
ところが、いざ相続するとなると問題点だらけで「どう対策していいかわからない」という方が大多数。混乱している方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「相続対策の問題点」を洗い出してご紹介。相続をすべき理由と注意点を解説しようと思います。
相続税の問題点1:超過累進性による負担増
日本の相続税は、超過累進性を採っています。
超過累進性では、金額が大きくなるほど税率も上昇するため、金額が大きくなるほど負担金額も雪だるま式に。
上手に相続税を対策しなければ、多額の負担を求められます。
ただし、相続税には様々な特殊ルールがあるため、事前に控除適用の準備をしたり、財産評価方法を調整することで、かなりの節税効果が生み出せます。
下記に生命保険を使った相続対策のモデルケースを用意しましたので、参考にしてみてください。
例:相続対策として生命保険を駆使した人と、そうでない人の違い
(5500万円の財産・相続人1名)
1 生命保険非課税枠500万円を駆使した人
5500万円 - 生命保険500万円 = 正味の資産 5000万円
5000万円 × 相続税率20% - 控除200万円 → 相続税800万円
2 対策せずに相続した人
5500万円 × 相続税率30% - 控除700万円 → 相続税950万円
問題点:対策せずにいると150万円の損失が発生!
相続対策の問題点2:相続対策が仇になることも
相続対策は、無闇に資金調整すれば良いという話でもありません。
課税評価額を減らすために資産を多額の借金で覆っても、相続人を待っているのは利息と返済金の支払いです。
また、不動産についても購入時と同様の評価額が受けられず、結果的に損失を生み出した事例は枚挙に暇がありません。
相続対策を行う際は、専門家に依頼を行い適切な判断を仰ぐのが吉。
安易な判断で対策を実施して多額の損失を生み出した場合、死後に相続人たちから「余計な対策を…」を嘆かれることになるかもしれません。
相続対策の問題点3:争族化による対策の停滞
家族親族の争族化は、遺産相続の大きな問題点の1つです。
家族間が協力すれば大きな節税効果が生み出せるのに、不審や不和により適切な対策が取れない場合、結果として一族全体が負担する税額も増えてしまいます。
相続税の対策は、ただ専門家に任せておけば良いというモノでもありません。
日ごろから家人とコミュニケーションを取り、各人の考え方や意向を把握。相続対策の必要性について、理解を得ることも大切です。
争族化により適切な対策が取れないことも…
〇 家族信託に周囲の家族が猛反対
〇 事業の承継で後継者争いが勃発!
〇 相互不信による遺留分の行使により二次相続対策が阻害される など
まとめ
相続対策は適切に行うことで、大きな節税効果が得られます。
相続税は計画的に行わなければ逆に損失を生み出す問題点もあるので、安易に自己判断せず、専門家に相談することをオススメします。
ただし、専門家に任せきりにするのも考えもの。
せっかく助言を受けても、実行できなければ意味がありません。
相続対策には家族間の協力や理解が必要なケースも多いので、普段から話し合いの場を持ち、長期的な計画を立てることをオススメします。